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年末のスクリーニングとQ&A
LA:2009-12-10 02:04 (120)
遠くてよく見えませんが、一番左に座っているのがクエンティン・タランティーノ監督で、右から3番目の男性がブラッド・ピットです。




 
年末になり、新年を皮切りに始まるエンターテイメント業界の賞レースを控えて、ハリウッドでは関係者を招待しての映画の試写会が行われています。今年は、試写の後に、映画の監督やキャストを含んだQ&A(質疑応答)が多いようで、私も友達に誘われていくつか行ってきました。
 数週間前には、クエンティン・タランティーノ監督の『Inglorious Basterds』を観ました。第2次世界大戦中にあったナチ狩りという暗いバイオレンスな題材にもかかわらず、ユーモアたっぷりで役者さんも素晴らしく150分という長さも気にならないで楽しめました。
 試写の後、タランティーノ監督と、ブラッド・ピットを含むメインの役者さんが7人舞台に上がり、客席からの質問に答えてくれました。こういったQ&Aには通常、ミディエイターという司会というか進行役がつくのですが、タランティーノ監督は、しゃべり出すと止まらない、マイクをはなさない人なので、彼ひとりで随分と楽しそうに場を盛り上げていました。
 その昔、知り合いの、知り合いの誕生日パーティーに連れて行かれたとき、そのパーティーを開いた家が、ハリウッドヒルズの丘の上に建つタランティーノ監督の家だったということがありました。パーティーは、監督の家のムービー・シアターで、普通の映画館のコンセッション(売店)のように、ポップコーンをつくる機械があり、バーの冷蔵庫には炭酸ジュースが並べられ、チョコレートやキャンディーが並べられていました。
 で、皆が席につくと、監督のご自慢映画、『パルプ・フィクション』の映写が始まりました。私は既に2回観た映画でしたから、一瞬、「えっ!?これまた全部観るの?」と思ったのですが、どうすることもできず最後まで座って観ていました。途中、部屋の真ん中に座っていた男性が、酔っぱらっているのかと思うくらいの勢いで大笑いしていたので、「そこまで笑うか」と思い、目を細めて見てみたら、タランティーノ監督ご本人でした。編集も含めもう何百回も観たであろう自分の作品を堪能しながら笑いこけている姿に、「すごい!普通じゃない。。。。」と心底感心しました。
 やはり、元ビデオ小僧/映像オタクですからね。彼のビジョンには、事細かな部分にまでタランティーノリズムが表現されているようです。今回の映画でも、ダイアローグにスピード感があり、音楽もとてもダイナミックで、全てが不思議にブレンドされていて、キャラクターの魅力が最大限に引き出されているのが凄いなあと思いました。
 この映画のキャスティングは、フランス、ドイツ、アメリカで随分と時間をかけて行われたそうですが、オスカーの助演男優賞候補にあがるだろうと思われるほど見事な役作りをしたアクターもいます。(名前を忘れてしまいましたが)
 役者さんたちは、監督の書いた脚本の台詞のなかにキャラクターが生きているし、監督から撮るシーンのビジョンをこと細かくそして熱く語られれば、それをバイブルと信じて演じるだけだから、とても仕事がやり易くて楽しい経験だったと話していました。He knows what he’s doing.
 撮影現場での監督と役者さんの間の信頼関係は、とても大切なものです。パルプ・フィクションを撮っているときから、「クエンティンのセットは、とても和気あいあいとしてパーッピーな場所だ」という噂を聞いたことがあります。それは、その座の親方である監督が、自分のビジョンを映像化することに熱い思いを注ぎ込むために、創造というパイプを通して人智を超えた大きな力にアクセスしているからではないでしょうか。

 次に観たのは、イラク戦争のマイクロコズムに焦点を置き、爆破物解除特殊部隊で活躍する若きソルジャー3人のお話を描いたサスペンス・ドラマ、『the Hurt Locker』でした。
 このタイムリーな題材を、現実性をもたせた映像に仕上げるため、戦場の場面は全てヨルダンで撮影されました。主演の3人は、ほとんど無名の役者さんなので、まるでドキュメンタリー映画を観ているようでもありました。とてもおもしろいキャスティングだと思ったのは、ちらり、ちらりと有名な俳優が登場する箇所があり、観ている側としては馴染みの顔を見てサイコロジカリーにホッとするんですね。でも、ちょっとするとその姿が見えなくなるので、「えっ!えっ?またこの3人しか残っていないの?」と、心細くなったり、緊張したり、実際の戦場場面に自分が直面しているかのような気持ちになって、どんどんと映画にのめり込んでゆけます。
 こちらのQ&Aには、監督のキャサリン・ビグロウとプロデューサー、そして、スタッフが数人やってきました。
 4台のスーパー16を回し、44日間で撮り終えたというこの低予算映画、しかもヨルダンの真夏の砂漠での撮影をこなしたこの女性監督は、実に落ち着いた雰囲気で淡々と質問に答えていました。
 キャストもスタッフもほとんどが男性、しかも女性の地位が低い中近東の国でのロケーションで、この女性監督は、そんなことをものともせずに仕事をこなしてきたようです。「現在のイラク戦争の、ほとんど知られていない悲惨な現状のほんの一部でもきちんと世に伝えることができれば、この映画はその目的を果たしたことになります」と言い切る、彼女の凛とした美しい顔が、とても神々しく見えました。
 こちらでもスタッフの男性は、監督のキャサリンのことを「She knows exactly what she’s doing.」と賞賛し、彼女は、チームのボスとして、現地のスタッフも含め皆から尊敬されていたと話していました。
 私の目には、ビグロウ監督は、ボスといよりもクイーンのように映りました。存在感と気品があり、ものすごい美人だけれど、そんなこと全然気にしていない様子で、それよりも世の中にポジティブな変化を起こすための仕事を自分の天職だと考えて前進している女性。しっとりした声でささやきかけるようなしゃべり方でも、周りの侍従たちは、耳をそばだててクイーンの指示を聞き逃さないようにと全ての注意を払う、そんな雰囲気が漂っていました。素敵な人!お手本にしたい女性がここにもいました!

 この全然タイプの異なるふたりの監督の話を聞きながら、何かを創るときに、なぜそれを形にしたいかというインテンション/意図をもってクリエイティブのプロセスに入ることは大切なことだなと感じました。そのこさえるものが、どんなにささやかなものであっても、たとえばバースデーカードにメッセージを添えるときや、子どもの弁当をつくるときでも、思いやりや愛情を込めてこさえたならば、それは天からのDivine Love(聖なる愛)をもって形あるものとしてマニフェストされ、受け取る側、観る側に真っ直ぐに伝わってゆくのだろうと思えたからです。
 
 次は、試写『Blind Sight』のQ&Aに現れたサンドラ・ブロックと、これから観に行くロブ・マーシャル監督のミュージカル、『ナイン』の感想を書きます。
 


   
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